最初で最後の共感

「私の送別会その2」「半年前に辞めた同僚が韓流アイドル風旦那さんともどもアメリカで働くので壮行会」「営業事務派遣の女性の送別会」「辞めた同僚の新しい職場での昇進祝い」などを兼ねた飲み会が、床の傾いだ飲み屋で開催された。麹町の駅のすぐ上にあるこの飲み屋は、2階の座敷の床が明らかに傾いでいて、かつ部屋の天井も平行四辺形になっており、飲まなくても酔ったような気分になる。昔後楽園にあった「ビックリハウス」を思い出す。慣れるのに1時間ほどかかった。
お客さんのある女性が産休から一年ぶりに復帰するという話を聞いて、上司が「戻るべきじゃない。3歳までは母親は子供のそばにいるべきだ。子供がかわいそうだ。とにかく3歳まではいっしょにいて、あとは保育園に預けて働いてもいいけど、その場合あなたの給料は全て保育園代になるけど、それでもいいならスキにすれば、って感じ」と一席ぶった。彼はようよう2歳になる子供かわいさによくこういう発言をする。これさえなければとても尊敬できるんだが。ちなみに彼の妻は現在専業主婦、その前の職はファッションデザイナーだそうだ。
自分は「またか」とだけ思ったが、びっくりしたのは、普段あまり話すことも無い残り4人+元同僚1人ともどもが明らかに「あなたの話で完全にしらけました。賛同はもってのほか、相槌やコメントを入れて場を保つ気にもなれません」という態度表示をしたことだ。実際場は完全に沈黙し、復旧に時間がかかった。
自分も含め全員子供はいない。ただ今まで自分は、彼女たちがさほどキャリア志向でもないと思っていたし、いわゆる「女らしい態度」であるところを見てきた。
それこそが「ちょっと混ざれないな」と感じていた部分だっただけに、この強い否定の態度には驚いた。同性なら共感できるなんてのはチープな思い込みだけれども、たまたまにしろこういう形で「共感」を感じられたのは興味深いなと思う。
ちなみにもう一点共感できたのは、しょうもないが「『BOYS BE...』が好きな男なんて大嫌いだ」というところだった。自分の高校時代くらいから通して、女性にとってエロ漫画以上に気色の悪いものでありつづけているらしい。「女が嫌いな男の漫画ベスト5」には入るだろう。『俺の空』等本宮ひろ志の漫画も候補に入れておきたい。