新ルール「ソリューション」って言ったら負けってことにしない?

国立国語研究所「外来語」委員会:外来語言い換え提案
仕事で関わったサイトだけど、コンテンツがなかなか面白かった。随想。

この規範が対象にしているのは、官公庁出版物と報道なので、各企業のサイトやその広告、雑誌記事については特に調査対象・言い換え奨励対象とはしていない。そりゃそうだ、そんなの入れていたらアウトばかりで話になりゃしない。
特にIT(SIer)・金融投資・コンサルじゃあこんな言葉で客を煙にまくことこそを使命としているんだから。
そう思っていわゆる大企業のトップページ漁りをしてみたら、意外にもカタカナ乱発は少なくなってきていて、むしろ中小企業のほうに残っていた。WebやCSRのコンサルに金をかけられる大企業は、もはやそんなダサいことはしないということか…。

この提案書では「言い換えの提案」がなされているわけだけれど、言い換えてまでその言葉を使いたいかどうかは疑問だと思う。
自治体のWeb担当者に対する調査で、外来語を使うことのよい点を挙げさせているが、その上位3つは「これまでに無かったものごとや考え方を表すことができる」「話が通じやすく便利である」「新しさを感じさせることができる」だった。
もしそうなら、「ソリューション」を「問題解決」「解決支援」と訳してもそのどの利点をも満たすことができず、むしろその日本語に対して二度手間の意訳を行わなければならない。
結局根本的な解決となり得るのは、そんな言葉もその言い換え候補も使わないで済むよう文章を練ることにほかならないが。

企業をぐぐるときに、どれだけこのリストにひっかかるか、代用可能な自然な表現はないか、しばらくチェックしてみることにしようと思う。

ところで外来語多用で思い出すのは、大学時代の某I教授(超有名人。)の外来語多用ぶりだ。
トヨタamazonファーストリテイリングのビジネスモデルを「イノベーション!」「リーダーシップ!」「ナレッジマネジメント!」「クリック・アンド・モルタル!」等の(当時新しかった)単語を連発して解説してくれた彼には、おそらく「いままでに無かった新しい考え方を伝えたい」という気持ちがあったのだろうか。それでは言い換えられない。
髪をオールバックに固め、外車のキーをまわしてチャリチャリ鳴らしながら講義をする彼のことを、われわれは「ドットコム」と呼んでいた。今は何と叫んでいるのだろうか。