早稲田大学ハイソサエティオーケストラ49回リサイタル

ハイソの迷走ここに窮まる。もう7・8年毎年行っているが今年、あまりにひどい。山野で唖然としたが、リサイタルという形で10曲聴くと、危うさがいっそう明らかだ。
去年、ライトとハイソ両方のリサイタルに行き、感想としては「ライトの選曲、いまいち外しているな・・・」「やっぱりハイソは楽しませてくれる・・・山野まずかったけどリサイタルはいいじゃないか」だったのに。

始まって数曲・・・感じない。足から頭に抜けるぞくりとくる快感が来ない。来ない。「これは・・・演奏がいけてないのか?それとも自分のビッグバンド聴く感度がもうダメなのか?」
と思って前半終了。が、OBピックアップバンド(ここ10年以内くらいのプロ・プロ志望OB)の「I'll never smile again」で一気に昇天。あぁ・・・来てよかった・・・やっぱりいいよ・・・しかもあんまり聞けないアイルネバー・・・。

え?ってことはだ、自分の感度がまずいんじゃなくて、やっぱり現役レギュラーの演奏がまずいんじゃないのか?

  • 音色が悪く、ピアノでバラつき、tuttiで割れるtp、落ちるlead tp
  • 吹けば飛びそうなtb
  • 存在感を示せないlead as, 聞こえない3rd,4th

とか、個別のセクションプレイもまずいのはまあ、わかりやすいけれどたいした問題ではなくて、いろんな曲ごとのまずい部分もすぐわかるけどそれもたいしたことじゃなくて、問題は、バンド全体としての方向性を完全に見失っているとしか思えない状態。監督がいないようなもの。
「もう押して切るのは嫌だ」・・・それならそれでいいけれど、それなら、何に魅力を感じさせるバンドになりたいのか?
基礎力に裏打ちされた強力なダイナミクス、「アクロバット」と揶揄さえされたsoliの技巧を、最新のアレンジで聴かせることから背を向けて何を見ているのか?今のハイソからは何のビジョンも見えない。
個別の曲目の見せ場がはっきりしない。なぜその曲がやりたいのか、原曲はかっこいいのか、それが伝わらない。(演奏がかっこよくないから。)リサイタル全10数曲を通して見せたいバンドの姿が定まらない。
どんなバンドになりたいのか?どんな曲を、どう演奏するバンドになりたいのか?それを実現するにはどう練習を組むべきか?それがないと本当に三流へ転落を続けるだけだ。
今までそう順位の高くなかったバンドが、その「魅せかた」を絞り込んで華やかに変身した様を何度も見ている。一芸に秀でた/強いポリシーを持ったバンドはそうそう崩れない。それを失ったものは・・・。
次のコンマスの使命は重いなぁ。救いは、現メンバーが2・3年生中心ということだろうか。

まあ、よかったところもちょっとピックアップ。

  • tb井下貴仁氏による編曲の「Beyond the Sea」「Bone appetit」(Tbフィーチュア)
  • F年鷺坂暁弘氏の「summertime」「Gnosis Part1」のソロ
  • tp宮澤雄一氏のソロ全て(洗足のトラだけど・・・でも、なんにせよほとんど彼だけがぞくぞくさせてくれたので。)

OBバンドのMCで、渡辺氏がハイソCDの紹介で「ハイソが、山野で、ばんばん優勝していた、ころの、CDです」気持ちはすごくよくわかるがステージで嫌味はやめましょう。