IT教育の混迷

実名でのネット活用促す 総務省「悪の温床」化防止(共同通信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050627-00000032-kyodo-bus_all
「有害情報判定委員会」 設置か?(スラッシュドット
http://slashdot.jp/articles/05/06/27/0411230.shtml?topic=19
情報フロンティア研究会報告書(元ネタ)
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/info_frontier/pdf/050614_2_3.pdf

今の仕事はお役所(文部科学省地方自治体)がらみで、IT教育のインフラ整備で食っていっているので気になる。
先日飲んでいた時に「役人それぞれはバカじゃないはずなのに、どうして最終的に出来上がってくものがマシンばら撒きなんだ?!
役人→コンサル→ベンダーと落とし込んでいく過程が問題なのか?」と吼えたけど…や、役人もかなり微妙。ただし新聞は煽り過ぎ。報告書は「悪の温床」なんて言ってないし(←新聞のほうがよっぽど有害情報だ)

ちょっと長めに引用。(強調は私)

はじめにも述べたように、ICTは社会のあらゆる側面で利活用される可能性を持つ汎用的技術であり、だからこそ、ICTは「ユビキタスネット社会」を創り出す力を持つ。だが、そうした力を活用し、組織の業務プロセスはもとより、社会生活全般が情報ネットワークを組み込んだシステムになることで、その社会の快適さ、魅力、効果・効率、競争優位性が増大するには、社会全体にICTを利活用する能力が広汎に形成されることが望まれる。したがって、ICTにより我が国の経済的社会的活力を最大化するためには、可能な限り多くの個々人が高度なICT利活用に慣れ親しむことが重要であり、それに向けた社会の雰囲気というのをシステマティックに醸成していく必要がある。
ところが、ICTの利活用という側面からみると、現在日本社会は大きな課題に直面している。それは、情報化社会の複層化ともいうべき、ICTの中核技術の普及層が分化している傾向である。携帯電話による文字通信のような比較的簡便なICTの利活用は広く一般に普及している。しかしながら、本来知識創造プロセスの変革をもたらすようなPCを含めたより高度な利活用については利用者が一部の層に限られており、とりわけ教育歴の差が高度なICTの利活用経験の有無と強い相関関係を持っていることが判明している。
さらに、先に述べたように、日本の社会では情報ネットワークが匿名であるという認識に基づいて色々な活動が行われているがゆえに、社会生活全般においてICTが利活用されていく活力が高まらず、社会心理的なデジタルデバイドと言うべき、サイバースペースへの忌避感が拡がっている。そのため、ある程度高度なICTを活用している層においても、その活動量、活力は、他の社会に比べて低いことも指摘されている。
こうした課題を克服する方策の一つは、義務教育課程である初等・中等教育の段階で高度なICTリテラシー教育を行うことである。個人のICT利用意識の向上にも関連するが、ICTにより実現されるバーチャルな環境を、現実社会と同じ感覚で活用すること、すなわち、サイバースペース上で実名又は特定の仮名で他人と交流することを自然の術として身につけるための教育が必要である。

なんというか、安全地帯を作っておいて、「はいここでなら安心してネットに書き込みができますよ、これがICTってもんですよ」ってゾーンを作っているだけなのでは?その安全地帯以外の世界もあるんだってことをどう伝えていくかが危ういなぁと思う。単に実名で使おう、というだけじゃ、「匿名の情報」に対する判断力がつかない。(悪と決め付けるしかしないだろうなぁ。)またはその「実名で善で安全なネット」以外を無くすよう規制していく、思想的な布石か。

仕事がらみで言うととりあえず今売っている学校向けポータル製品にはブログ機能がないからこれからあわてて作るんだろうなぁ。「そのうち『じゃあこれからはみんな夏休みの日記はブログで書こう!先生毎日チェックしてトラックバックしちゃうぞ!」なんて言うんじゃない??」なんて呑みながら言っていた冗談話は来年には現実になっていそうだ。