先々週の貸し出し図書リスト

初田亨「職人達の西洋建築」

職人たちの西洋建築 (講談社選書メチエ)
まだ「建築家」のいなかった江戸末期から、日本の職人がどのように西洋建築を吸収していったか。また、職人の仕事の変化など。(レンガやペンキなど昔無かった職種の登場や、職業組織や受託方法の変化など)松本旅行用に借りたけどなかなか良し。

  • 「仕事の中の曖昧な不安」

仕事のなかの曖昧な不安―揺れる若年の現在
ニート」の玄田氏が2001年に著した本。2001年ならまだ「曖昧な不安」かも知らないけれど、今読む意義はあんまりないかも。

フリーターという生き方
前回「ニートとフリーター」を借りた小杉氏の前著。「ニートとフリーター」のほうが、「学校経由の就職の失敗」に視点を集中させていただけマシでした。インタビューから、若者の主観的な意見に依存して論を進めていく傾向は前からだったんですね。私が今読む意義はあんまりなし。

迷走する若者のアイデンティティ―フリーター、パラサイト・シングル、ニート、ひきこもり (シリーズこころとからだの処方箋)
ちょっと目先を変えて、臨床心理学からのアプローチ。2006年末に出たばっかりの新しい本。社会学分野の本をだいぶ読み込んできてますね。主旨としても、前のほうに「この問題についてはこれまで、社会学や経済学の分野で語られることが多かった・・・しかし結論となると若者にエールを送るだけの内容になっているものも多かった・・・」とあり、違う学問分野からならではのアプローチをしたいらしい。が、できているかっていうと、書いてあるのは「問題を抱えた若者はこういう状態になってます」ということだし。臨床的にエンパワメントする方法、とはいえないなぁ。そもそも、若者の問題を、個々人に還元してしまう言説を作りうる、ということで、臨床心理学からのアプローチはそもそも危ういと感じる。別に悪い本じゃないけど、身内にフリーターのいるnaloとしては「使えん。」