右に曲がったらダッシュです。3、2、1

人をまいて逃げたのなんていつ以来だろうか。逃げそこねた二人は、女性がいなくなったのをいいことにキャバクラに連れ込まれ、五万くらい遣わされていると思われる。

同じ部署だけと違うチームの飲み会。みなさん新宿南口の東西南北って飲み屋はやめたほうがいいですよ。なんでそんなものに参加してるかっていうと同じ部の女の子としゃべりたいからですよ。美味しくないし煙で目が痛い。二時間でさっくり出て美味しいビールでも飲み直しに誘おう。
と思ったら!
およびでないやつが!

「女の子だけで行くの?俺らも行ったら邪魔?」
邪魔です。
「俺ら」じゃなくてずばりお前が邪魔だ。(他の二人はヨイ。)
よりによって、苦手な人が二次会を仕切始めた。
やだやだ。どーしよう。森以蔵は飲みたいけどハナクソをほじりながら自慢話を垂れるあんたの隣はいやだ。

途方にくれながらも東口に足を進めると、先輩もそう思っていたらしい。

「抜けましょか」
「後でなんか言われるかなぁ」
「じゃあ、『キハチのアイス食べたいから後から行く〜』てのはどうでしょう。」
「それだと一緒に来ちゃうかも」
「…じゃあ端的にまきましょう。」

和真の前でだだだだだ。

逃走成功。大爆笑。ベルクでギネスで飲み直し。めでたしめでたし。