先週の貸し出し図書1
わりとしょうもない本ばかり借りたかも。
平野啓一郎「高瀬川」
CNETの「ウェブ進化論」についての往復書簡(http://blog.japan.cnet.com/kenn/)で著者に関心を持って、とりあえず1冊読んでみることにする。
短編集。実験的な作品を集めているようだけれど、正直全然面白くない。一番凝っている、上下段で2つの視点の物語が同時進行する「氷塊」にしても、その仕掛けだけで別に話の内容は陳腐。
散文詩じみたものは論外、表題作は「同じ年齢の人間の体」にもうちょっと踏み込むかなと思ったけど安っぽいエロに終わる。
ただ、この著者については、もう何冊か、まともな作品を読んでから判断。
河野多恵子「骨の肉」
講談社文芸文庫にはずれなし!をひさびさに実感。適当に借りたわりにはがつんと来たあたりの一冊。短編集。
骨付きの肉、殻つきの魚介類を分け合って食べるカップルの話(表題作)も良いし、特に「魔術師」という短編にはヤラレタ。
「とにかく、女の性の中で一番の欠点は、安心することを知らないことだと思うよ」なんてセリフ直撃ですよ。「子供のいない夫婦」や「同棲カップル」を扱った作品が多いらしい。
他の作品も読もうと思うけど、男性不信に拍車がかかる気もする。
恩田陸「Q&A]
これは「恩田陸のこわいほうの本」なので注意。郊外の大型スーパーで大災害発生。被災者へのインタビューだけで構成される・・・って
いうけど途中からQ&Aじゃなくなってただの会話文になってるんですが。
オムニバス構成、マルチな視点でのストーリーテリングは大好物なので期待。ただ、途中からちょっと崩れたかなー。ちょうどQ&Aではなくなったあたりから。とはいえじんわり怖くなってくるのでたまらん。出張のときにもっていかなくてよかった。
三浦展「働かなければ、自分は見つからない フリーター世代の生きる道」
まともなのはタイトルだけ。もういい加減この人の本は読むのやめよう。期待の下限値より低い。ほとんどただの漫談、自慢、おっさんのたわごと。やたらと出身大学名と過去に勤めていた某会社名を連呼するのは恥ずかしいから勘弁してくれよ。
しかし恐ろしいことに、この本を参考文献一覧に挙げている本もあったりする。
「暗証番号はなぜ4桁なのか?」
著者を別の、セキュリティ分野の権威であるとある人と勘違いして借りた。「おおっこの人がこんなにくだけた本でセキュリティを語るのか?!」と思ったけど全然違いました。
普通の人に、コンピュータにおけるセキュリティに関心をもってもらうために、もっとも身近であるだろう「銀行の暗証番号」を題材にして啓蒙している。文章はいまどきのおちゃらけ満載でちょっとツライ。技術系の人の読むものではないかな。