最近読んだ本の一部
「夏の名残の薔薇」 恩田陸
「Q&A」とも似た、構成重視の作品。決まった型に則って、同じシチュエーションを微妙に異なるように書き重ねるのが面白い。(「ひぐらし」にも似ている)ただし正直終わりまで持っていけていない、ラストも腑に落ちず。挿入される「去年マリエンバードで」を見ていたらもっと楽しめるのかな?正直作者のその映画への思い入れが強すぎて楽しめなかった。
「黄昏の百合の骨」 恩田陸
しまった・・・続きものだったか。恩田陸は続作がわかりづらいよ。前の2作を読んでいないからかつまらない。主人公を聡明だ知的だと褒め称えながらも、それがさっぱり行動としてあらわれてこないあたり、森博嗣のヒロインみたいですね。
「木曜組曲」 恩田陸
これは佳作。ある女流作家の死後、その親族でまた作家の女性四人が、彼女の死について語り合うと・・・。
流行の女優さんを集めて2時間ドラマにしそうだなーと思ったら、もう映画があったのか・・・。広げるだけ広げた後きちんと片付くし読後感も良い。(この作者にしては珍しい)
「災害の心理」 清水
災害対策系の本かと思って読んだら、違いました。
著者は長年精神科医として子供のケアに携わってきた人物。「災害」の定義が、広く、いわゆる虐待なども含んでいる。筆者もあとがきに書いているとおり、何が言いたいのかまとまっていない。しかしながら、被害者に向けた真摯な気持ちだけは間違いなく伝わってくる。空回りが惜しい。
「いきなり誰かが襲ってきたら?」黒木昭雄
筆者はもと警視庁巡査部長。内部告発の本いろいろ出していますね。副題は「突然の暴力犯罪から身を守る方法」。警察が来た時はコトが起こった後。それまで最低限自分でできることは何か?についての、地に足の着いた知識を身につけるための本。
「暴力から逃れるための15章」 ギャヴィン・ディー=ベッカー
筆者は暴力犯罪(暗殺、ストーカー、DV)対応のプロ。
「暴力から身を守る最短の方法は、日常の小さな違和感、直感に耳を傾けること。本能が発信する危険信号を「気のせい」「気にしすぎかな」と無視しないこと。でも人はそれに理屈をつけて無視しがち・・・」
この本はその「直感」「危険信号」が何なのか、それが何をもたらすのかについて、意識的に(逆説的だが)理解させるための説明。
この本にあることは、自分の親が「危険を避けるため」に私に教えていたことと共通するところもあり、また日ごろ自分が感じていた「直感とは、不思議な力みたいなもんではなくて、大量に蓄積されたデータからのパターン抽出と、パターン認識、確率を統合した判断」という考えにも合致するため、すんなり読めた。また、直感に頼ることによって、「常にスタンガンを握り締めて歩くような」過度の防衛を抑えることもできる点が有意義。
気に入った点をちょっと引用。
男と女では、安全に対する考え方がずいぶん違う。<中略>次の単純な言葉は、どこで聞いたのか忘れてしまったが、両者の際立った相違を的確にいい表している。『心の奥底で、男は女に笑われはしないかと恐れ、女は男に殺されはしないかと恐れている』
「邪魅の雫」京極夏彦
やっと出ましたね。
・・・不思議なことが、何もないよ!!!(ぇ)
前回はあっさりしすぎて残念だった。今回はきちんと節ごとに相関表を書きながら読んだのに、やっぱりあの人間関係は解けなかった。
「みんなが西向きゃ俺は東」 松井道夫
学校の講演会で1回だけ聞いたことがあります。3年位前の本だけど、後発のネット証券の手数料ダンピングに苦々しい思いを抱いている部分があり、今どうなっているのか調べてみたくなった。面白い人なので今後も注目。