スキン&ボーンズ展〜1980年代以降の建築とファッション

二回目にして六本木ミッドタウンの商業施設には飽きました。駅直結というのは便利でよいのですが。それはさておき。

良かったところ

  • 同じ用語で語られることの少なくない建築とファッション、その近似性や越境・関連性に視点をあてた意欲的な取り組み。
  • ファッションと建築を「スキン」と「ボーンズ」という共通の視点で分析。
    • スキン:表側に現れて何かを保護する・表現するもの。建築:ファサード・外壁、ファッション:服そのもの
    • ボーンズ:骨組み・構造・土台・何かを形作るための基礎となるかたち。建築:構造、柱、ファッション:人体(??この解釈は自信が無い)
  • 充実の図録

感想いろいろ・面白かった展示

  • ハイファッションの服を見ているとなんかつい「ファイブスター」や「ジョジョ」を思い出してしまう。実際ファッションのほうがソースなんだけど。しかしつい「ファティマみたい〜☆」とか「スタンドっぽい」とか思ってしまう。アレキサンダー・マックイーンの「カローデンの未亡人たち」の黒いドレスなんか「クーンっぽい。。。」こういうものを生で見ることはほとんどないので面白い。
  • 建築へのファッションからのアプローチとしては、テス・ギバーソンの「構造1コレクション」が面白い。モデルが服を棒(ボーン)にかけていくと、徐々にそれがテント(スキン)になる。ものすごく原始的な、建築と衣服の一体化したもの、という感じ。
  • 建築では、ヘルツォーク・ド・ムーロンの「プラダ青山店」、伊藤豊雄の「TOD'S表参道」、「ミキモト銀座」に連なる、「網状のファサードがそれ自体構造となって、柱無しで建築物を支える」シリーズが、この展示のストーリー(建築のほう)の「現時点での最新の形態」となっているようだと感じた。
  • SANAAの「トレド美術館」。

いまいちだったところ(キュレーション)

  • かなり抽象的なテーマを扱うにしては説明不足。散逸的な印象がある。すべてビジュアルで見せるのは難しいかもしれないけどもう少し何か無いと本当に表層的。
  • 基本的に「なぜ?」「それは・・・」がない。
  • なぜ「1980年代以降」なのか?それまでとはどう違うのか?なぜそれまでは無かったのか?なぜ1980年代以降登場してきたのか?技術的に可能になった?ほかの分野の影響?
  • なぜ同じキーワードで語ることができるのか?建築とファッションの近似性は偶然なのか?必然なのか?関係や交流はあるのか?
  • なぜ「スキン&ボーンズ」なのか?「スキン=外装・シェルター」と「ボーンズ:骨組み・構造」との一体化は新しいことなのか?原始的な家にしても、石組み・レンガ造りの家にしても、外壁と構造は一体化していた。これに現代的な意義はあるのか?
  • ストーリーが見えない。特に予備知識の少ないファッションは全くストーリー立てがわからなかった・・・。
  • 後半のキーワード別の展示が情けない。「包む」「織る」「たたむ」「プリーツをつける」「プリントする」等、建築とファッションの「スキン」に使われる同じ技法を紹介していたけれども、ファッションにとってはありきたり、建築にはこじつけ・無意味または少なすぎる事例、もしくはその逆だったりする。
  • 服をバラバラにして組みなおして再生させることを「脱構築」と呼ぶのはいくらなんでもちがうのではないだろうか。

。。。まぁこういう「なぜ?」を喚起されてしまっただけでもこの展覧会に負けたのかも。あと展示会を出た後、新国立美術館の建物がしょぼく見えてしまった。いいのか。これ。