パトカーに鎮火報

深夜1時過ぎ、外で「おい!何をやっている!」と誰何の声が聞こえて、半分眠っていたのがふっと覚めた。
一瞬の忍び笑い、逃げる足音、追う足音、続いて靴底の擦れる音がし、「なんっで逃げるんだっ・・・」ともみ合いながらの怒声が聞こえた。
逃げた先が袋小路なのを知らなかったのか、本気で追ってくると思っていなかったのかすぐにつかまったらしい。斜向いの家の主人らしい声が「何もやってませんじゃないだろ・・・えぇ?おーい!(家族)、110番!」と怒鳴っている。
しばらくして、パトカーのサイレンが遠くから響き、環七を登って、家の前のこの一方通行の道に、三台が続いて廻ってくるのが音でわかる。
不審者は隣家に引っ張り込まれたらしく、パトカーが停まったあとの会話は聞こえず、いつパトカーが去ったのかも分からないまままた寝てしまった。

笑いながら逃げていったくらいなのだから、プロの空き巣ということもないだろうし、良くて自転車泥棒か車上狙い、悪ければ不法侵入、もっと悪ければ放火、というところなんだろうけど、騒ぎがあったのに特に何のフォローも無いのは困る。消防車が鎮火報の鐘を鳴らすように、「お騒がせしました。酔っ払いの自転車泥棒でした」とか「未成年の不純異性交遊でした」とか言ってくれたらいいのに。ちょっと安心が欲しいよ。