桜庭一樹 おおざっぱな感想

桜庭一樹は「砂糖菓子」「少女には向かない職業」「青年のための読書クラブ」「赤朽葉家の伝説」「少女七竈と七人の可愛そうな大人」「ファミリーポートレイト」まで読んで昨日「私の男」入手。これから再読しながらぼちぼち感想書く。そのまえにいまんとこのを簡単に。

  • 「砂糖菓子」かなり好き。ラノベだと思って読まなくてよかった!
  • 少女には向かない職業」ほとんど「砂糖菓子」そっくりだが?セットで好き。
  • 青年のための読書クラブ」これもわりと好き。一番明るい話か。
  • 赤朽葉家の伝説」「青年〜」とセットで好き。今のところ一番気に入っている。どちらも、泥臭い近代(製鉄による隆盛からバブル期、暴走族まで)と世間から隔絶された(でもつながっている)空間のなかでしなやかな女性の人生を描いていて好もしい。長女の毛鞠さんがいいなぁ。なんか幻想的で気取っただけの雰囲気かと思ってたら全然違っていい意味で裏切られた2冊。
  • 少女七竈と七人の可愛そうな大人」面白くなかった。まず文体が。わざとなんだろうけれど気取ったしゃべり方をさせるところとか好きではない。結局7人って、誰?あと後輩はなんのために出てきたんだろう。美少女が鉄道模型を趣味とする、っていうのも「それらしくない趣味」という感じでとってつけたようでいやだなぁー。
  • ファミリーポートレイト」2日前に一応読了。実は「私の男」の後によまなきゃだめだったね。「七竈」と同じ、母娘もの。これもあまり好きになれず途中で飽きかけた。奔放な母との離別、母への愛着を描いているところでは同じ。前半「ファミリーポートレイト」の、母子の放浪は妙に現実離れしていて、一瞬にして山間の町が雪崩に飲まれるところや、とさつ場の町の廃墟の図書館、「隠遁者の庭園」などの幻想的な風景、なんとなくガルシア・マルケス風なのか?あまり好きではない。後半「セルフポートレイト」、母と離別した少女駒子が、創作表現によって、放浪生活と母との離別の苦しみと向かい合って生きていく部分は・・・うーん。「創作表現によって苦しみと向き合う」というか「表現者の痛みと苦しみ」というテーマがあまりにもごろりとむき出しなので面白くない。単に著者の主張を聞いているという感じ。主人公は終わりのほうで、「セルフポートレイト」という長編小説で日本で一番有名な大衆文学の賞をとり、ってそれはあんた、あんたが「私の男」で直木賞もらったって話だろう。別の表現者として、厳格な父親に反発してポルノ女優をやっている少女と同居する挿話なども、「同じテーマを別の視点から描きました!」という感じでとにかく「むきだし」なのだ・・・。猛るだけなら小説じゃなくていいのだ・・・。まぁあとなんだろう、酒だの煙草だの同性愛だのポルノスターだの、放埓さをあまりにアピールされてもだからなんなんだ・・・と・・・単に好きじゃないだけかな。ひとつだけよかったのがズブロッカクランベリーリキュールを入れて飲むと桜餅の味がするという情報だったよ。主人公が、母が作っていた桜餅を思い出しながら飲む。
  • 「私の男」父娘近親相姦ものなんて読みたくないよ〜・・・。