エミール・ガレ展 @江戸東京博物館

大学1年のとき、一般教養でアール・ヌーヴォーについて半年講義を受けた際、小レポートのテーマとして取り上げた…のをかすかに覚えているけれど…正直その内容は自分で書いておきながら忘れた。恥ずかしい。
それはさておき。

  • よかったところ
    • 圧倒の展示品数(200点以上)
    • 寄木細工の家具。もともとのガレのデザインセンスも素晴らしいが、その設計図を渡されて細工に落とし込む職人芸もちょっと人間技とは思えない…。浮世絵風の風景画を全て薄い木のジグソーパズルで作ったらこういう感じかも。
  • よろしくないところ、というか好きじゃないところ
    • 猛烈に混んでいて、しかも客が年寄りばかりなのに、人の誘導の仕方が下手。うーん…。
    • 展示の仕方に工夫が感じられない。とにかく展示品の数が多いので、「並べました!」になってしまっている。立体作品なのでぐるり見たいところだけれど一方からしか見られないことがほとんど。鉢などは鏡の上に置いて下部を眺められるようにしたものもあったけれどなぁ。人の流れを滞らせる説明ボードが少ないのはよかったけれど、あまりキュレーターの「意図」が感じられない展示だった。

こうだったらいいなぁ、というのを考えると、技法についての解説を分かりやすく実例つきで見せてくれたらよかったな。ガレのガラス作品には独自の手法も含めいろいろな技法が使われているけれども、それをフランス語の用語ひとつで説明されても面白くもなんともないし、それがどうできているのかもよく分からない。最後のほうに、ガラスの嵌め込みを作る手順を段階別に示したサンプルがあったけれど、それを技法別に紹介したら、見た目の独創性に加えて技術の高度さなども良く分かって楽しいと思う。寄せ木細工についても。ガラスは「美術」というより「工芸」の分野だし、アーツ&クラフツの思想からいっても、当時の手工業の技術に注目するのは悪くないんじゃないかと思う。
逆にガレ本人の手がけている「デザイン」という部分に目を向けるなら、デッサンからデザインまでの「落とし込み方」に注目したら面白かったんじゃないかな。作品にならべて一部設計書が紹介されていたけれど、それをもっと意識的に、段階的に見せることができたら面白いと思う。
たいてい美術館に行っても「何でできているのか」「どうやってできているのか」に関心が向くからそう思うのかもしれない。まぁ、でも、そういう人は常に一定数いるだろうな。そういう人も満足できる展覧会に行きたいものです。


それと、東京の馬鹿建築ベスト10入りは確実、「江戸東京博物館」を初めて見られたのも収穫のひとつかもしれない。えぇ…これは…ホワイトベースですかね?
東京三酔人の「建築ほめ殺し」によると、「巨大な床を空中に浮かべていてすばらしい。それだけのために巨額が必要になったのは素晴らしい。維持費がいくらかかろうとも、展望が全くできなくても、都民は喜んで文化のために税を払いましょう。喜捨しましょう。」とのこと。もっと新しいかと思ったら、1993年完成、設計は菊竹清訓設計事務所、とのこと。
あまりにもシュールな建物に圧倒されたけれど、ちょこちょこググってみると、常設展もちゃんと面白いとか。まあ次の機会に…