べそっかきにおあつらえ向きの季節

日曜に無防備な姿で西荻をそぞろ歩きなどしていたものだから、とうとう花粉症を発症してしまった。ここ3年くらいは、2月ころから甜茶を飲むだけで抑えられていたのにな。月曜はとうとうマスクをかけることとなった。
マスクをかけるのは精神的につらい。まるでオムツをあてられた寝たきりの年寄りが急速に生きる気力を失っていくという話くらい、尊厳が犯されていく気がする。実際他人がマスクをしているのをみると、「普段のその人の顔にマスクがついてるだけ」なのでどうってことはない。さほど気にすることでもないはずなんだけれど。
この時期の妙な湿気を感じると春だなと思う。春だなと思う前に、何か引きつるような嫌な感じがする。どうもこの時期は嫌なことが多かったように思う。実際はそれは思い込みで、単にこの時期生活環境の変化が多く、経験されたイベントの総量が多いので、そのなかで嫌だったことも多いだけだ。よくこの時期べそべそしていたことを思い出す。鼻が真っ赤だろうと、ぼたぼたと涙がだらしなく垂れていようと、目が充血してまぶたがぶかぶかに腫れていようと、「花粉症がひどくて…困ってるんですよ」の一言で済んだ。べそっかきにはうってつけの季節だ。今年は泣かなくても済むようでありたい。