出張なのに・・・。

あんまりそう思われないけれど怖い話がかなり苦手だ。しかもかなりたわいもない怪談すら苦手で、読んですぐに物音にびくびくするようになる。「なんとなく収まらない悪夢的な話」は平気だけれど、単純な怪談や都市伝説、スプラッタに弱い。率先して読むことはないけれどどうしても事故的にぶつかってしまうことがある。
きれいな装丁で楽しみにしていた、恩田陸「象と耳鳴り」文庫版を持ってきたが、これが微妙に落ち着かない不安さを感じさせるミステリで参った。一応謎解きに片は付くけれどもそれをあっさり覆してしまうので、自分が一瞬前までいた場所が崖崩れで雪崩落ちたのを見たような、ひやりとした気分になる。おまけに都市伝説的な挿話もあってもう勘弁である。この人はときどきこういう不気味な印象のものを予告無しに混ぜるので、好きなだけに困る。「月の裏側」にもそうとう困った。ともあれ出張で独り寝をするときにはあまりにもふさわしくなかった。大仏次郎「猫のいる日々」を読みながらなるたけ脳みそのバッファを飛ばそうと勤めたが、結局テレビと電気をつけて寝る羽目になった。どうやら自分には独り暮らしは無理そうだ。みんなどうしているのだろうか。他人に迷惑をかけない対処方法が知りたい。
今日は風呂場で「痴人の愛」。ビジネスホテルのがらがらの大浴場でひとり。