江戸東京たてもの園

http://www.tatemonoen.jp/
陽気が良くなったら行こう、と思い続けてはや数年。ようやく文化の日にいってまいりました。印象に残ったのは、「ハード(建物、展示品)ではなくソフト(企画、いろいろな工夫)で活きている博物館」というところ。

よかったところは・・・

モダン建築

お目当てにしていた前川國男邸が素晴らしかった!!一見山小屋、民家風の三角屋根の下は、大きな吹き抜けの居間になっていて、シンプルですがすがしい。障子の格子と窓の格子組のリズムもモダンで憧れる。他も全体的に、「モダンな和風」とか「モダンな障子」の処理のしかたが印象に残る。堀口捨己の小川邸、高橋是清邸などでも、特にファザード側にいろいろ工夫を見た。(窓枠・欄間、縁側など)

看板建築群と律儀な検証

園内の東側は看板建築ゾーン。いや、人形町とか神保町ではまだまだ現役だったりするけれど、まだ現役のうちに保存移築しておくことも重要だな・・・。(限界になって壊される前に。)
大正・昭和初期の商店建築を集めた区画。ここは建物の移築保存だけではなくて、店内・室内の様子を驚くほどの地道な執念(ほめてる)で再現しているところ。
他の区画の建物はがらんとしていることが多いけれど、ここは商売道具や生活用品に満ちていて、風俗資料館も兼ねている。どの建物にも「たてものQ&A」という冊子がおいてあり、その建物や使用のされ方についての質疑応答を載せているのだけれど、そこからは、当時の様子を再現させるために可能な限りのオリジナルの移築と、無くなったものについての再現に「そこまで!?」と驚くほどのこだわりがあったことがわかる。(この冊子はその場所でしか見られない・・・けど質問も高度で面白い!!)
建物と建物の間に路地を設け、そこに下町らしい植栽、盆栽などを配置してあり雰囲気がある。こういったもののメンテナンスもボランティアなしにはできないことでもあり、ソフト力を感じさせる。

地道な企画

園内で一番盛り上がっていた場所は、実は、看板建築ゾーンの中の一角、「はらっぱ」。ドラえもんでしかみたことのない「土管」のある原っぱに、ベーゴマや剣玉が置いてあり自由に遊べる。子供に大人が教える・・・はずが、「昔はできたのに!!」とムキになる大人続出。お年寄りのボランティアが教えてくれる。
園内に展示してあるボンネットバスは、飾りではなく毎週運行していたり、居酒屋には前掛け姿のお姉さんがいて解説してくれたり、昔の「紙芝居」の器械で紙芝居をみせていたり、展示物である写真館で写真撮影をしたり、柔らかい頭で考えた魅力的な企画が多かった。
これらの大部分はボランティアの自主活動とのことで、特に高齢世代にとってはまたとないものなのではないかな、と思う。

そのほか

  • 商売っ気の無い屋台(テキ屋ではなくボランティアがやっている)。じゃこ天とトン汁を食べました。。
  • 展示品(高橋是清邸)のなかで食事ができる
  • 小金井公園でピクニックを兼ねていくのもよいかも
  • 非常にお洒落な「モダン着物カップル」がいた・・・アコガレ〜
  • 「懐かし日本テーマパーク」として、外国人のかたの観光スポットとしてもおすすめかもしれない。

常設展の魅力を推して、人に「面白いよ!」と言えるようなところはあんまりないけれど、ここはよかった。