アーティスト直販に思う(RADIOHEADとArtistShare)

RADIOHEADの新譜がアーティストのサイト直販のみ、しかもダウンロード価格は自分で決める方式という事件が発生したようですが。
ダウンロードの価格は勝手に決めろ(どうせ流出してコピーされるんだから)というのは大御所の余裕としても、ある音楽の提供の方式をいくつか設定して、それに対してリスナーが自分で欲しいだけのものを選んで対価を支払う、というのは理にかなっていると思う。これはもっと広がって欲しい。
自分はArtistShareでMaria Schneiderの新譜を2回買っているけど、これもほぼ直販方式で、
http://www.artistshare.com/projects/project_experience.aspx?projectID=141&artistID=1
面白いのは、

  1. アルバム完成前から「参加者」を募る。(有料、複数のクラス)
  2. 参加者にはクラスに応じて提供物(CD、mp3、楽譜等)が設定されている。
  3. アルバム完成前から、練習風景ビデオ、コメントの動画などのプレゼントが提供される。

「参加者」のクラス、つまり何をどう買うかはこんな感じ。

  • Sky Blue CD - Standard Edition (mail order) $16.95(普通のCD。mp3といろいろおまけつき)
  • Sky Blue CD - LTD Edition w/40 page booklet (mail order)  $24.95(自分はこれ。初回特典で17$くらいだった)
  • Sky Blue Participant – download (320 kbps Mp3) $12.95
  • MSO Featuring You, Vol II Participant $29.95(一部の楽譜つき)
  • Bronze Participant(limited to 10)  $1,000.00(アーティストからのあなたむけのメッセージビデオ、サインつきアーティストのお気に入りワイン、CDに名前が載る、その他)
  • Silver Participant(limited to 5) $2,500.00(↑に加えてアルバム発売記念イベントの招待券5枚とその録音、、ワイン増量、その他)
  • Gold Participant(limited to 2) $7,500.00(↑に加えてアーティストとのお食事、サイン入り生楽譜、ワインとチケット増量、その他)
  • Executive Producer Participant (limited to 1) $18,000.00 (↑に加えてアーティストとお散歩とレコードショップでのお買い物、ワインとチケット増量、その他)

ブロンズ以降は完全にパトロンなのだが、(恐るべきことに最高額の権利はSOLD OUTだ)この仕組みってかなり良いのじゃないだろうか。
ひとつは一般人にもアーティストへの貢献の道が開かれたと言うところ。naloもボーナスをつぎ込んでブロンズの権利を獲得してMariaのパトロンになれたりするわけですよ。ぐふふ。好きな音楽について語れたりするわけですよ。(←英語が出来ればな)
もうひとつは「特典」というものを完全にわりきって有料化したところ。そのかわりだれでも参加できる。(こういうのってファンクラブとかで囲い込んでやってきたんじゃないだろうか)
おしゃべりしたり食事したりするのは、ファンにとっては夢心地、アーティストにとっては低コストのサービス。
すでにバカ売れ、大御所、といったアーティストには向かないかもしれないけど、これからこういうやり方で新興アーティストと「貢献と提供」の交換ができたら面白いと思う。ArtistShareでは初の映画プロジェクトが始まっている。コピーして増やせる類の創作活動全般で適用できるのではないだろうか。