小説を濫読したい

会社の部門全体の暇な会議で、前の席に座った女性二人が文庫本を広げ、ミステリについて話しているのを聞いたときに、自分がいまの「小説」や「作家」の世界からすっかりとりのこされているのを、もうだいぶ実感してきてはいたのだけれど、認めた。
というわけで高校大学時代くらいの濫読生活に戻ろうかなと思う。王道モノ読んでなきゃ恥ずかしいとか、あまり流行っているものを読むのは恥ずかしいとか、海外ミステリに詳しいとかっこいいとか、もうそういうのは無視。気にしない。流れろ流れろ。忘れて消えるならそれまで。とりあえずひとりの作家あたり3冊くらい読んでみて判断する。あとしばらく「ダヴィンチ」も読む。なんというか昔知っていたものから離れていくのが、嫌だ。浜松町の「ブックストア 談」で配っていた店員さんお手製の人気作家リストを持って図書館を回る。

というわけで借りてきたもの。これから読む。

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

    • 読前:妖怪ミステリ。うふふ。
    • 読後:超自然のものが出てくるのが前提のミステリってどう読んでいいのかわからず、後半までだいぶミスリーディングしてしまっていた。実際これってミステリなのか?と思ったけれど、娯楽として良質なのでそれは気にしないことにする。文章に温かみと清潔感があって、読んでいてここちよい。しかし商家のぼっちゃんって贅沢な暮らしだなぁ・・・。武家の日常生活を書いたものを読むと本当に貧相な食事なので、たんぱく質や甘味でいっぱいの彼の食事はさぞかし贅沢なんだろうなぁ。
  • 「殉教カテリナ車輪」「誰のための綾織」飛鳥部勝則

誰のための綾織 (ミステリー・リーグ)

    • 読前:あーあ、これデビュー作と問題作なのか。ちょっと選択ミスした。
  • 「格闘するものに○」「月魚」三浦しをん
    • 読前:これもミステリじゃないけど。「まほろ駅〜」ないかなー。これはデビュー作と2作目。テンションが全然違うのだが。
    • 読後:「格闘〜」は出版社に就職したい早稲田生の就職活動記を中心にした青春もの・・・って言っていいのか。腹違いの弟との感じのよい「お互い大変だね」という含みをもったやりとりが気に入っている。わりと好感。「月魚」・・・え?!これ・・・BL・・・だよ・・・ね?ちょっとちょっと、そういうつもりで借りたんじゃないんだってば!明るいノリの青春モノの次は耽美風ですか。古本屋とせどり屋のそれぞれの子供が、親から引き継いだ仕事とお互いの過去に向き合う流れはBL無しでも面白い筋なんじゃないかと思うんだけど、著者の趣味なのか。しかし、『耳朶を赤らめる』なんて表現がもう気恥ずかしくてしょうがない私はもう年なのか。過去か。
  • 「夏季限定トロピカルパフェ事件」米澤穂信

夏期限定トロピカルパフェ事件 (創元推理文庫)

    • 読前:短編集なのでちょこっと読んだけど、主人公が嫌いだ!!!こういう、文脈に合わない「的確な指摘」をする自分を知的と誇る類の人間に、なぜ小説のなかでまで会わにゃならんのだ。まぁこのコンビのシリーズ以外は硬派っぽいのでそっちに期待。
    • 読後:謎を謎たらしめているのが、ヒロインの性格だけっていうのは、どうなんだろう?読み方がまちがっているのかな・・・。こういう筋。(以下白文字)友人の様子がちょっと変です→友人が事件に巻き込まれました→事件は普通に無事に解決しました→普通すぎておかしい!全て友人が仕組んだことに違いない! もともと「自意識過剰な高校生」を意図的に主人公に据えたものなようなので、前編にわたる自意識過剰発言は仕様なんだと思うけど、その「自意識過剰」を読者も理解しないと、謎にもなんにもならない、というのは・・・うーん。しかもこの二人にあんまりのめりこめないのでそういう解法だとは気づかなかったよ。

微妙。次作に期待。

  • 「日曜日たち」吉田修一
    • 読前:昔嫌いだった知人の名前と似ていて、しょっぱなから好きになれない予感。(←内容と関係ないが)
    • 読後:やっぱり興味が持てない。短編連作らしく、「もう1作読めば面白くなるかな??」と思いながら風呂で読んでいたら、いつまでも面白くならず、すっかりのぼせてしまった。