DEATHTOPIA 廃墟遊戯

発刊当時から眺めていた写真集。ハンディ版が出ていたのでついに買ってしまった。

廃墟遊戯 Handy Edition

廃墟遊戯 Handy Edition

昔から買おう買おうとは思っていたのだけれど、この方の写真があまりにも綺麗なので、買えなかった。廃墟をこんなに美しく撮るなんて、なんだか後ろめたいような、そしてそれをうっとり眺めてしまうなんてとても背徳的なことのような気がする。朽ちていくものが美しいなんてとっても気障だし、環境への影響だとか安全性などの社会的なことを考えると、見た目の美しさに淫していてはいけないような気がする。でも、でもこの写真はやっぱり魅力的だ。
鉱業廃墟の機械を、緑青(というか塩化銅とか硫化銅と思われる)がおおう、鈍色と緑の対比であるとか、崩れた建築物を押しのけて室内植物園ができていたりとか、魅力は主に色彩と光の強いコントラストによって成されている感じがする。いじってるんだよ、いじってるからこんなに綺麗にみえるんだよ、と思おうとしてみても、見ほれてしまう。

ところで、小説を読んでいて、舞台が全くイメージできないときほど味気ないことはない。今読んでいる「血と暴力の国」なんかも、その「アリゾナの砂漠」であるとか(車で数時間で行ける砂漠地帯ってどんなの?そこに流れる川ってどんなもの?)ほとんど舞台、背景がイメージできなくてツラいものがある。私があまり映画を見ないからかもしれないけど・・・。こういう写真集を見ることで、頭の中の描画用素材が増えていくとしたら、それもいいかもしれないなぁ。