野蛮の中に生きている(欝エントリ注意)


二週間前に見た、怪我をした猫のことが忘れられない。


スーツケースを引きながら急ぎ出張に向かう途中で見た。
鳴き声がして、かわいがろうと思って探したら、ありえない怪我をしていて、驚いて思わず立ちすくんだ。
何もせずそのまま見捨てて仕事に向かった。

外猫なんて怪我はするものだけれど、それはどう見ても猫同士の喧嘩でついたとも、事故とも思えない。
猫なんてそもそも野蛮な生き物で、発情して喧嘩して場合によっては目をつぶしたり大怪我をしたり、交通事故にあったりするものだし、そういうものなのだから感傷的になるなんてのはやめたほうがいいと思っても、それでも前足の一本を付け根からすっぱりと切られるなんていうのは猫の所属するべき野蛮さの範疇とは異なっている。

弱いもの、力で逆らえないものを虐待する野蛮さというものが、縄張りを争う猫の野蛮さとは全く別の次元で存在している。普段は法やらなにやらで存在しないことになっている野蛮さの世界が地割れのように見えてきてしまい、改めて自分の立ち位置を考える。

父が言っていたことをなんとなしに思い出した。
「裸みたいな服着て歩いている女はバカだ。*1あなたはどんな服を着るのも勝手だと思うだろうし実際勝手だけれど、世の中には『そういう服を着ている女は強姦してもよい』と思っている人間がほんとうにいるんだよ。そんなわけはないとか、そんな考えは間違っているっていうだろうけれど、それでもそう思っている人間はいるしそういうのは何か反論したり諭したり教えたりでどうにかなるものではないんだ。どんな服着ても盛り場に行っても人の勝手だけれど、そういう風に考える人間がいるっていうことをリスクとして考えていないんだよ。本当にどうしようもない人間はいるんだよ。若くても年寄りでも。見てるんだよ実際。」

*1:naloではない