最近読んだ本「できそこないの男たち」とか

「できそこないの男たち」福岡伸一 2008

できそこないの男たち (光文社新書)

できそこないの男たち (光文社新書)

生物と無生物のあいだ」に惚れ込んで「もう牛を食べても安全か」「プリオン説はほんとうか」を買ったけれどあの衒学的ギリギリの美しい文体の魅力はなかった。でもこれは・・・これだよ私が読みたかったのは!!福岡先生ステキ!
性決定遺伝子の発見を題材に、生物における性の意味を解きほぐす。
性を決定する遺伝子の発見の歴史、その性決定の遺伝子(というか男性化決定の遺伝子)がどのようにヒトのデフォルト・タイプである形を男性に変化させていくか。このあたりは女性でも思わずうめいてしまう・・・。そして、生物の発生と連関の中でなぜ男性が必要か?を、アリマキの生態から説明。さらに「父系血族」や「万世一系支配者」の価値についても踏み込んでいたりして非常に刺激的。生物学的に見ると、「アダムからイブが」も「尊い○○家のお血筋」もこうなる・・・。また、男性のほうが女性よりも寿命が短く、各種の疾病にかかりやすいのは周知の事実だけれど、その理由についての生物学的な観察結果を紹介している・・・これは私、男だったら泣くよ・・・。いや女だけどこれには・・・。結構ショッキングな事実です。
釣りっぽいタイトルに脊髄反応してしまわれる可能性が高いけれど、すごく面白いのでお勧め。

模倣犯宮部みゆき 2001

模倣犯〈上〉

模倣犯〈上〉

模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

傑作!!あまりにも怖くて面白くて、下巻はぶっ通しで読んでしまった。「火車」「理由」などの宮部みゆき本気モードの発露。続編の「楽園」も読みたい。

鴨川ホルモー万城目学

鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

間違って2作目から読んでしまったけれどやっぱり面白かった。でも「ホルモー」が始まるまでを新入生の目から見た時系列で描いているのでちょっと冗長?2作目程度の情報でも十分理解できるような気がする。ぜひ続作を出していただき、同志社黄竜チーム復活と東京の残りの3チームも描いていただきたい。

ネクスト・ソサエティ」P・F・ドラッガー 2002

ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
こういうのも読んでおくべきなのかな?と思って手にとってみたけれど、あまりぴんとこないというか「知らないことを知った」感触がないのは7年前に出版されたからなのか、それとも言い古されたお説教になってしまっているのか。「過剰雇用の保護産業を救うのは無駄だ、若年者の再雇用のための教育にコストをかけるべきだ」という主張を見たときいまの自動車産業への救済策のことを思い出した。