ナイ氏駐日大使就任→島本和彦「新・吼えろペン」→小山登美夫「現代アートビジネス」
「ジョセフ・ナイ氏が駐日大使ですか。ほうほう」「誰それ?何したひと?」「『ソフト・パワー』の人だよ」「あぁー。『描く抑止力』ね」「そうそう」
ソフト・パワー(Soft Power)とは、国家が軍事力や経済力などの対外的な強制力によらず、その国の有する文化や政治的価値観、政策の魅力などに対する支持や理解、共感を得ることにより、国際社会からの信頼や、発言力を獲得し得る力のことである。対義語はハード・パワー。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「文化があったほうが国際的に信頼されるだろうって気はするけれど、相撲や歌舞伎で外交を有利に運べるかねぇ?」「運べるんじゃないの?」「そりゃあ海賊と誘拐が主産業の国とか、インフレ率が10万%になっちゃった国よりはいいかもしれないけれど、イメージだけじゃどれだけ力があるものだろうか・・・」
自国の文化が他国に影響を与えるか、よりも、自国が他国に対して自尊心を持てるか、という意味だったらもう少し納得がいくのだが。そもそも外交する相手国の文化のことをそんなに知っているわけではないし。(知られていないのは弱いってこと?)「ヒーローはスーパーマンでなんか文句あるのかゴルァ」と言われたときに「いやそんなのがヒーローだなんていやだ、俺らのヒーローはそんなんじゃない、俺たちのヒーローは●●だ!」と言える文化的な蓄積があればこそ自身を持って国家としての主張ができる、ということならなんとなくわかる。でもそれは単にナショナリズムっていうのか。
島本和彦「新・吼えろペン 10巻」
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小山登美夫「現代アートビジネス」
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p.190より抜粋。これもソフト・パワーの強化と言う側面から読める。
近年開館した森美術館にしろ、国立新美術館にしろ、コレクションを持たずに企画展を見せることに終始するタイプの美術館が増えました。独立行政法人国立美術館法(2001年施行)は、この状況にさらに追い討ちをかけます。国立美術館は、自力で採算を上げなければならないのです。ますます財政は厳しく、新たにコレクションを増やすのは相当苦しい状況です。美術館行政は、芸術文化の向上といった「質」よりも、まずは入館者数や売り上げといった「量」を最優先課題としなければならなくなったのです。
(※「入館者数や売り上げ」ここの部分は、良くないこととは思わない・・・評価がされない状態では、良い収集や企画展示が行われていたとも思われないから。この「質」と「量」は相反する概念ではないと思う。入場者数などの指標は企画力、調達力の向上につながると思うし、それもまた学芸員の力の見せ所だと思う。)
美術館の役目は、エンターテイメントとしての展覧会を企画し、教育普及させるだけではありません。本来は、自国で生まれるアートの中から優れたものをいち早く見極めてコレクションするのも、重要な存在意義であるはずです。アートの価値を自ら生み出していく「権威」であるべきなのです。