「世界の終わり、あるいは始まり」歌野晶午
「世界の終わり、あるいは始まり」歌野晶午
- 作者: 歌野晶午
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/02
- メディア: 単行本
- クリック: 39回
- この商品を含むブログ (41件) を見る
法月綸太郎ミステリー塾 国内編 名探偵はなぜ時代から逃れられないのか
- 作者: 法月綸太郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/01/23
- メディア: 単行本
- クリック: 8回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
私にとっては、Cつまりこの本のしかけは「ミステリ作家の苦労を読者に思い知らせるためのしかけ」なのかと思っていた。
先日読んだ「プリズム」に続いて、解をひとつに絞らない、多層式のミステリとして読んだけれど、・・・これ、解は結局ひとつ(息子が誘拐殺人事件の犯人である)であって、多層の部分は「動機は何か」と「事後処理をどうするか」に過ぎないのではないか。誰が犯人なのかについての推理は一直線、証拠の発見についても(暗号らしきものについても)ほとんど一直線で驚きはなくあきらめ(ああやっぱりそうだったのか、という)しかない。「読者がスカッとする終わり方を考えるのって、難しいよね☆」と突き放されたようで、おいおいそれを考えるのがお前の仕事だろ、といいたい気がする。ノベルゲームならこれでいいと思うけど。
根拠の無い明るさに満ちたさわやかな終わり方が不気味。
父子の絆と犯罪という視点において、岡嶋二人の「チョコレート・ゲーム」との類似性が指摘されていたが、既読だったのでなるほどと感じた。