お客さんにひびく言葉はお客さんのなかに

ここ2年くらい関わっている某社案件が、3月末で一段落する。
(今っぽく言うとITインフラのプライベート・クラウド化プロジェクト)
まだ運用体制作りや課金管理の仕組みづくりには時間がかかりそうだけどデータセンタ1個分の基盤がとりあえずできた。

いろいろあったけれどお客様の上層部への評判もまずまずで、「『型紙化』して全社に推進しよう!」という声もあったとのこと。

「型紙化」というのはお客様社内で8年位前からあった、ビジネスやインフラの標準化をすすめるスローガンだったらしい。
別の言い方でいうと、「サービス・カタログ化」とか「サービス・テンプレート化」という感じ。
全てをオンデマンドに構築するのではなく、テンプレートとすることによって品質向上、短納期化につなげよう、という運動。

今回システムのインフラを共通化してプール管理するための基盤を導入してきたけれど、このお客様ではそれを、「全社ITインフラ統合」でも「プライベート・クラウド導入」でもなく、(インフラの)「型紙化」と表現するのが一番、腹に落ちる表現だった。
「ああ、これを取り入れることで、要するにあの『型紙化』が推進しやすくなるってことね」「新しいことじゃなくて、前から言ってきた『型紙化』のことね」と思ってもらえた。
やっていることが、お客様の中で「腹に落ちる」表現になったときにはじめて、納得できた、意味や価値がわかった、と感じてもらえる気がする。

逆に、自分が売りたい・提案したいものをお客様の中で「腹に落ちる」表現にうまく置き換えることができたならば、もっとモノやサービスに価値を感じてもらえる、買ってもらえるチャンスは増えるように思う。
前述の「型紙化」もお客様の社外向けPR記事に載っていた。
そんなところから「腹に落ちる言葉」を捜すなんていうことも、できる営業さんはあたりまえにしていることなのかもしれない、とか、そういえばできる店員さんや美容師さんも自然にやっていたな、ということに気づいた。

よく観察して、
なんらかの課題についてその人の「腹に落ちる」表現を探し、
それをうまく引用して課題解決をアピールする。
自分の言葉をわからせるんじゃなくて、相手の言葉を使ってわかってもらうこと。