ジェミノイドとバレンタイン

nalo9152012-02-13

新宿高島屋のバレンタインフェアに、大阪大学石黒研究室の女性型アンドロイド「ジェミノイドF」が展示されているので見にいってきた。いままでも各所で話題の、そっくりすぎるアンドロイド、人間に近づけることを目指して開発されたアンドロイドが、発表会等ではなくデパートで見られるなんて。。今年のバレンタイン商戦、新宿伊勢丹初音ミク&クレモンティーヌ produced by oster projectでなかなかとばしてるなあ、と思ったけれど、高島屋の企画担当のほうがふっきれていた。人外の女性にバレンタインを託すにしても、初音ミクはまあ可愛いウィスパリングヴォーカルでosterさんの楽曲も安心の高品質なのであまり違和感はないだろうけど、こちらは不気味の谷ぎりぎりに迫るアンドロイドだ。これでバレンタインってどうしたらいいんだ。
それはともかく、このFさんはすごい・・・すばらしい。ニコニコとモデル笑いをするわけではなく、不安げな表情で、それがなぜか人間っぽい。はたから見ていると「なぜ女性をそんな(失礼になるほど)近くで取り囲んで、なにやってるの?」と怪訝に思うくらい。人間と違うのは、汚い表情や仕草をしないので非常に上品だというところですかね・・・。そしてたまに目が合うと本当に見つめられているような気がする。

私としてはいつ彼女がオフィスとかに来てくれて「おはようございます」とか言ってくれてもまったく差し支えないというか、ぜひはやくそういう日に立ち会いたいものだと思うのだけれど、通り過ぎる人の四分の一くらいは「気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」と強力な拒否反応を示す人もいてアンドロイド実用化の道の遠さを感じさせる。連れ合いも「見ていると不安になる」とか「突然立ち上がってガラスを割り始めたら怖いって気がする」などと言っていて、これは機械への恐怖と、古来からの人形嫌悪の二つが合わさったもののように思う。
かくいう私も少しは「このモデルになった女性はなかなか度胸があるなあ」なんて思うけれど、自分の形を引き写すことへの嫌悪なんて、今時「写真を撮られると命が吸われる」なんて人はいないことで次第に消えるだろうと予想できるんじゃないだろうか。それとも、写真を破ったり動画を消去したりすることと、自分の顔をした自分と同じ大きさの物体を廃棄したりすることにはやはり違いが残るだろうか。それを平気で捨てたりできるまで、人間がアンドロイドを普通に使うようになったら、その頃は人間の心がなにかを一段乗り越えた状態なんだろう。それも見てみたい。

売ったばかりなのにまたファイブスターストーリーを読みたくなってしまった。