最近の本

面白さ/好み→5/5
連れが全巻そろえて悶絶していた。2週間くらいかけて読破。
いやあ、いい。すばらしい。フィクションというのは人間の妄想とはいえ、ここまで世界を作ってくれるとブラボーというしかない。「後は自分で想像してね☆」「手持ちの材料=あなたの経験や脳みそのなかにある画像で背景を埋めてね☆」「記号出しておくから、萌えてね☆」的薄いフィクションに食傷していると、こういう「俺が創り出した世界にどっぷり頭を突っ込め!外のことは忘れろ!」というホットな作品に圧倒される。
突っ込もうとするならば、「転生とか多すぎ」「おんなじ顔のヒロインが大量に出てくる(←ストーリー上必然なのだが)」「糸で操作するってレベルじゃないだろ」「歯車で動く人形ってレベルじゃないだろ」「エピソードやイベントが説明的すぎる」「寝返りそうな奴がきっちり寝返る」「病気とその薬の仕組みが適当すぎる」「人が死にすぎる」「主人公がありえない表情をしすぎる」「宇宙って・・・」「歌って・・・」「吉原って・・・」とかなんとか、ドシロウトが「こうなったらかっこいいだろ?!」で思いつきで広げに広げまくったような場所、世界、設定なのだが、それをひっぱりに引っ張りきってしっかり回収させるところがすごい。また、読者の「手持ちの材料(想像力)」を越える画面、キャラクター、その表情、行動もすばらしい。
「吼えよペン」でもネタにされていたけれど、なによりこの作者の外向きの意識、自閉しないで「自分の中にある世界と命題、それに対する解、基盤となるメッセージをきっちり読者に、わかるように伝える」という姿勢が好きだ。メッセージ性がくどい、という意見もあるかもしれないけれど、ものづくりをする人間はかくあるべきだと思う。

まほろ駅前多田便利軒
面白さ/好み→3/4くらい
あらすじ:便利屋を営む男性多田のところに、元同級生(友人ではない)で変人の行天が転がり込んでくる話。持ち込まれる案件をこの闖入者が特有のおせっかいで解決していく、というか介入していく話。
多田が過去を語る最後の1話と、行天の「オクサンだったひと」の話の2つはちょっと強引じゃないかと思う。強引というか唐突か。あと行天のキャラクター描写が飛びぬけているので、なんとなく「キャラクター小説」っぽく感じてしまう。小説の主人公は傷を負っていないとダメですか?会話になんとなく、ジャンル小説、キャラクター小説っぽいかっこつけがあるなぁと思うー。境界線BLと思えばいいのか。デビュー作のほうが好きかな。

ボトルネック
面白さ/好み→1/1
つ・・・つまらねぇ・・・!「小市民」2冊つまらないと思いもう1冊読んだけれど「どこがおもしろいの?どこかおもしろいの?」レベル。
あらすじ:事故死した恋人を弔いに行った現場でめまいを起こした主人公(高1)は、突如「自分がおらず、幼い頃死んだはずの姉が生きている」パラレルワールドに行ってしまう。そこでは、不仲なはずの両親は仲がよく、事故死した恋人は生きており、つぶれたはずの店や死んだはずの知人も健在と、もといた世界よりわずかに良い世界だった。自分の代わりに生きている「姉」は、「僕」の世界での選択肢をことごとく良い方向に向けて生きており、僕の「恋人」が死んだきっかけを暴きこの世界で克服してみせる・・・
ストーリーはただ流れるだけ、謎もなく主人公は傍観者、最後は放棄気味、自分で出した命題にちゃんと答えを示す気が無いのなら、小説なんか書かなくていいじゃないか。ユリイカで特集組まれていたらしいけどどこが面白いのか聞いてみたい。もう1〜2冊くらい読むけど。
ところでなぜか西島大介の絵を想像しながら読むとハマっているような気がする。