先週借りた本とか

グランド・フィナーレ阿部和重 2005

グランド・フィナーレ
芥川賞その1。ううん・・・面白いのかな・・・。妻子持ちの幼児性愛の男が主人公、性癖が妻にばれて妻子と別れる。(ペドでも娘は大事らしいので精神崩壊気味)田舎に帰って実家で暮らすうちに、少女二人が彼に頼みを持ちかける・・・。破滅して友人から止めを刺され、実家に帰ったあとの後半部をどう読んだらよいのかよくわからず。贖罪、再スタートと見るべきなのか?

「八月の路上に捨てる」伊藤たかみ 2006

八月の路上に捨てる

八月の路上に捨てる

芥川賞その2。これは良かった!!中野から西武新宿までの自動販売機への配送ルートをこなす2人の若者の半日の会話。場所も年齢も近いからか共感できるような気がする。先輩の「水城さん」と主人公の会話、主人公とその妻がうまくいかなくなっていく4年間の結婚生活の回想、丁寧で清潔感のある表現で好感。なんというかほんとうにこの夫婦はダメになっていくのだ。ネガティブなことが起きる小説が嫌、という人もいるかもしれないけれど、ネガティブな(かつありふれた)ことをどう表現できるか、って作家の力の見せ所では。ただし「希望を見せよう」的なエピソードの挿入がちょっとくさいところもある。もう何作か読みたい。

「ジュリエットの悲鳴」1998 「壁抜け男の謎」2008 有栖川有栖

ジュリエットの悲鳴
壁抜け男の謎
しばらくこの作家のを読んでいなかったけれど、連れ合いが「孤島パズル」を読みたいといっていたのでついでに借りてきた。うーん、つまらないぞ。どちらも1冊に16本とか、ショートショート的なもの。いかにも雑誌用、埋め草的でがっかり。私も江神シリーズを再読してこのがっかり感をおさめよう。「登竜門が多すぎる」だけちょっと笑った。

「萌えるアメリカ 米国人は以下にしてMANGAを読むようになったか」堀淵清治 2006

萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか

萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか

これは面白かった。70年代から、日本の漫画をアメリカで販売する会社「ビズコミュニケーションズ」を経営していた著者が、その発展の歴史を語る。版形や(アメコミはフルカラーで1部1話、漫画は単行本または雑誌)流通の違い、(大手取次ぎってものがない、オタク向けショップは完全買取制)、翻訳と倫理の問題(右とじ/左とじ、書き文字、劇画のポルノシーン・・・)、受けたもの受けなかったもの(うる星やつらはさほど受けなかったらしい)、など興味深い話題が多い。後半、競合他社(TOKYOPOP)が日本と同じ右開き・書き文字翻訳しない・単行本サイズ に切り替えて価格破壊を起こし、(15$→10$以下)その結果シェアを大幅に奪われたが、メインターゲット層がマニアから一般のティーンエイジャーに広がったあたりが面白かった。「モーニング・ツー」にはコミックショップでバイトする日本マニアの少年が主人公のものがあるけれど、こういうバックグラウンドだったんだなぁ。