みずず書房なので短編小説集なのに2400円もするよ。
NHKの書評で発見。「これは
内田百間『冥途』21世紀版」とアオリにあったけれど、どちらかというと『東京日記』じゃないかな?もっというと「21世紀版
バリー・ユアグロー」のほうが近いと思う。「ラブレター」なんかそのまんまではないか?
内田百間と
バリー・ユアグロー好きのnaloにはストライク・・・と思いきや、この2氏と比べてしまうので逆に入り込みづらかった。そこはかとなく不気味で悪意を感じる「落書き」、葬儀に参列する男たちが次々とカラスになる「鳥たち」、コンペイトウで作った桜の花で昔の女を数える老人の「ポロポロ落ちる」なんかが好きだ。
- 「銀むつクライシス」G・ブルース・ネクト 2008
銀むつは連れの好物だ。しかし切り身でしかしらないアレが、「銀ダラ」とも「ムツ」とも関係のない魚で、チリからオーストラリア、
南アメリカ間の
南氷洋で取れるものだったとは。
銀むつを「密漁」するスペイン系漁船と、これを拿捕せんとするオーストラリア
警備艇との追跡劇に、欧米のレストランでの魚市場についての経緯が交差する。これを読んでわかったのは、ああ、漁業っていうのはもはや商業であり、「有限」な資源を世界各国が奪い合う産業なんだなということ。漁業について牧歌的な・・・漁業で牧歌的はおかしいから素朴な?イメージしか持ち合わせていなかったことが情けない。技術の進歩によって、地球いっぱいに広がる海産資源はもはや「取りつくして枯渇させる」ことができてしまう程度のものとなり、そのため新たな「商品」を常に「開発」しなくてはならない、そういう商売なのだと。というわけで欧米で人気のある
白身魚、特に枯渇してしまったカジキのかわりに着目されたのが、あの魚、「
銀むつ(むつじゃないけど)」「チリ・シーバス(全然バスの仲間じゃないけど)」と呼ばれて売られることになった魚だった。
「スゴ本」サイトさんと
日経新聞の書評で発見。
絶版。神保町古本祭りで定価+200円で発掘。
阿部昭は高校生のときから好きでパラパラ集めている。重複して持っているものも多い。神保町に行くと初出の単行本がそこそこの値段で売られているけれど、中途半端に集めているのでいったいどのパッケージでそろえるべきか迷う。癌で死にゆく元海軍司令の父を、
鵠沼の家そして病院で看取るまでの家族の言動を描いた作品。何度となく読んでいるのでもうさっさと頭の中に入ってくるけれど、(でも所有したかったので買った)コレを読むたびに私は親の死に目を予行演習しているんだと感じる。
うわっついに手を出してしまいました。しかも2作目から(間違ってる)。京都の大学4校間で実施される謎の競技、ホルモーをめぐる青春小説短編集。いやあ、イイ。大学対抗で行われるサークル活動というものにほのかな憧れを持っているので、各校の特徴やら伝統やら名プレイヤーだとかの話にはときめいてしまう〜。最終話、「卒業した後、ある大学の主将同士がたまたま合コンで出会ってしまう」話がたまらない。早くほかのも読むぞ。