歌野晶午まとめ読み3「館と言う名の楽園で」2002

館という名の楽園で (祥伝社文庫)

館という名の楽園で (祥伝社文庫)

内容(「BOOK」データベースより)
「奇妙な殺人事件は、奇妙な構造の館で起こるのが定説です」三星館と名づけられた西洋館の主は、四人の招待客にある提案をした。それぞれが殺人者、被害者、探偵役になって行なう“殺人トリック・ゲーム”である。そして今、百数十年前にイギリスで起こった事件が再現される!時空を超えて幽霊のごとく立ち現われる奇怪な現象、謎、さらに最後の惨劇とは。

これもミステリの定番「館」を使った短編。これは仕掛けがだいたいわかったぞ。そもそも、「元ミステリ研究会の同窓生が壮年となり、そのうち一名が『憧れのミステリ風洋館を建てたから集まってミステリゲームをしよう』という趣向」ならば、犯人は自明。家主からの「わからせてやろう」とするための伏線もふんだんなので、謎解きとしては本当に「作中作(作中ゲーム)」の域を出ない。しかしその楽しくチープな作中世界「館ミステリ」と、その外側のさびしい現実、そして幕切れの差が激しく、読後感はあまり良くない。