歌野晶午まとめ読み4「女王様と私」2005

女王様と私

女王様と私

出版社 / 著者からの内容紹介
「このミス」1位『葉桜』の偉才が放つ、今年最大の問題作!
真藤数馬は冴えないオタクだ。無職でもちろん独身。でも「引きこもり」ってやつじゃない。週1でビデオ屋にも行くし、秋葉原にも月1で出かけてる。今日も可愛い妹と楽しいデートの予定だったんだ。あの「女王様」に出逢うまでは。彼女との出逢いが、めくるめく悪夢への第一歩だった……。戦慄的リーダビリティがあなたの脳を刺激する、超絶エンタテインメント!!

章タイトルは「真藤数馬のうんざりするような現実」「真藤数馬のめくるめく妄想」「真藤数馬のまぎれもない現実」。
第一部が「現実」第二部が「妄想」第三部が「現実」とはっきり示されている。そう、この本の9割を占める第2部は「妄想」だと。
そうくれば、そうでしょう、「妄想」での行動が、「現実」にどのように影響してくるのか?ってところが読みどころになるでしょ?
ロリオタプー童貞44歳の真藤が日暮里で出会った「女王様」に引きずり回されるうちに連続少女誘拐殺人事件に巻き込まれていく、そしてその解決に向かって進む・・・という妄想ですね。というと、「じゃあ現実に戻ったときは真藤は探偵役じゃなくて犯人で、目が覚めると自宅の裏にはその少女たちの死体が・・・」というネタかな?と思いましたよ。しかし実際はその・・・斜め下を行っているような・・・。
現実と妄想の絡み合いという点で言えば「世界の終わり、あるいは始まり」のアイディア、つまり「ありえた選択肢としての妄想」を発展させた作品かもしれない。(ブログをいろいろ見ると同じように感じている人が多い)ただ、妄想と現実の接点が、私が期待したよりも少なかったのが単純に残念。妄想部分の解決編で語られなかった、「三笠大雅殺害ケース」と、「なぜ妄想の中で神であるはずの自分が、『4つ目の切り札』を使えなかったのか?」のつながりだけが、現実と妄想の間の強い意志だったように読めてしまった。・・・他にもあるけどアフォで気づいていないだけかな。

これもミステリの定番「同じ人間が二人?!でも双子じゃないよ」をこれまたポカーンな方法にて解決。これはギャグなのか、アンチなのか?妄想だからなのか?