地に足の着いた勝間本「インディで行こう!」2006
勝間和代という人についての、自分の認識がジグザグと上下して変わりつつある。
最初、「年収10倍アップ〜」などの勉強本がヒットしたころは、「なんか自己啓発本とか勉強本とか書き飛ばしてちゃらーい感じ。やっぱりコンサルファーム出身?は〜ヤダヤダ」と、脊髄反射的に嫌ってた。(←勉強して年収で勝ってから言えよ。でもまあ、勉強法なんて星の数ほどあるんだから、好き嫌いで決めてもいいでしょ?)
最近、印象が変わったのは、この人が、ワーキングマザー支援の会員制サイト「ムギ畑」の立ち上げ人で、「ハッピー・ワーキングマザーBOOK」の著者であることを知ったから。
- 作者: ムギ畑
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/10/26
- メディア: 単行本
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そこで最近のベストセラーであるところの「起きていることはすべて正しい」(←タイトルが怪しいので買うのに引いた)を読んでみたけれど、この人がまとめた造語や、コンサル風な用語の連続で、自分の頭や考えに全然しみこまない。範囲が広すぎるのかもしれない。まだちゃんと読めていないのかもしれないけれど、頭の中で構造化できないし、「じゃあ何をやってみよう、やめてみよう」というアクションにもつながらなかった。やっぱりダメじゃーん。
でも。彼女が提唱していることの1つ「女性は年収600万円以上稼ごう!」というのが気になって、2006年の(勝間和代としての)処女作「インディでいこう!」を読んだら・・・これはすごく、よかった。
- 作者: ムギ(勝間和代)
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2006/01/18
- メディア: 単行本
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「インディ」とは、自然体で自立した人生を歩む女性のこと。(という彼女の造語)
その具体的な3つの条件は、
- 年収600万円以上を稼ぐこと
- いい男がパートナーとしている
- 年をとるほどすてきになっていく
この3点の解説と、なぜそれが必要なのか、ないとどうなるのか、そしてどうすればそうなれるのか(主に(1)の年収達成方法について)の解説。ボリュームとしては達成方法、つまり勉強法の割合が大目です。
で、重要なのは、なぜこれを伝えたいのか?なぜこの本を書いたのか?ということ。「ワーキングマザーの苦労を共闘してきた」というところから考えると、「そうじゃないとどういうしんどいことがあるの?」「どんなしんどいことがあったから、この力がほしいの?」となる。
そこで、「ハッピー・ワーキングマザーBOOK」の経験談をプラスして裏読みすると、
- 年収600万円以上ではない→稼げていない→金銭的に夫に従属→自分の意思で選択する自由(特に金銭と離婚)が狭められる、働くことに対して評価されにくくなる→要するに金がないと自由と尊厳がないってこと
- いい男がパートナーではない→パートナーがいい男でない→従属を求められる→自由がない方向へ引っ張られる、低い自己評価
- 年をとるほど素敵になっていかない→若さ頼み、継続的に成長できない、将来的に稼げなくなる
要するにまとめると、これらがないと金と自由と尊厳の面で辛いことがあるよっていうこと。別にそう書いてあるわけではないし、この本には「ムギ畑」のことはほとんど出てこない。ただ、これらの条件が何からもたらされたものなのかは、両方読めば間違いなくわかる。
他にもいろいろ条件あるだろというのはもちろんあるだろうけれども、不安を抱えるワーキングマザー予備軍(働き続けていたいと考えている女性)の、「どうすれば働き続けていけるだろうか?で、働き続けているって幸せ?それって両立可能?」という疑問に対して、明確な展望とその条件を、経験の総合によって提示しているところがいい。
年収600万円というのは女性の年収で言うと上位10%だそうな。*2また、?に該当する「いい男」(稼ごうとしている女の足をひっぱらない男)は、年収の話を抜きにしても多数派とは言いがたいので、「かなり恵まれた人しかできない」という批判がやっぱり多い。*3
ちなみに、上記の「パートナーとしてのいい男」の条件は、1,2,3の条件をを男版にしたもので、(1)年収1000円以上稼ぐ(2)パートナーであるインディの価値を認める(3)年をとるごとに、すてきになっていく というもの。自立とか関係ないから?はいらなそうなものだけれど、インディが600万円以上稼ぐのが前提だと、自分が低いと足を引っ張ろうとしたり仲が悪くなったりなどと問題があるらしく、(←これも「ムギ畑」からの実体験)離婚に至るケースが少なくないそうな。お、おそろしい・・・やはり同じく「社会の上位10%」という意味でつりあうくらいにしておく必要があるということなのか・・・。