万華鏡の視覚 ティッセン・ボルミッサ現代美術財団コレクションより@森美術館

http://www.mori.art.museum/contents/kaleidoscopic/top.html
この迷路のような作品に心惹かれて、ずーっと行きたい行きたい言ってやっと行ったのだけれど全体としては提供の仕組みが若干難しく、感じ取れるものの少ない回だった・・・。
本展出品のアーティストたちは、人間の感覚や認知のシステムに関して独創的な視点をもっています。彼らが提示する世界に対面する時、私たちが慣らされた感覚は試され、普遍的だと信じてきた「常識」は覆されます。「現実(リアリティー)」とは何か。私たちが生きている世界とはどこか。人間の存在と認識に関するこの根源的な問いに対して、あらゆる可能性を探ります。万華鏡が多様で魅惑的な視覚を映し出すように、決して一つではない視点があることに気づくとき、世界の見え方が変わってくることでしょう。

知覚を扱うのは難しい。視覚ならなんとかなるけれど、多くの人が出入りする展覧会という場で、聴覚や触覚を扱うのは、かなり難しい。ジャネット・カーディフの古いテーブルに手をかざすと、周囲から音が鳴りだすという展示、これは人が集まってわらわらと手をかざすので、「手をかざす」と「音が鳴る」の関連がほとんど失われていた。これはもっとプライベートな空間でしか楽しめないのでは?現代アートって大衆のもの、と思っていたけれどそうでもないものもあるのかも、なんて思ってすこしどきっとする。

お気に入りだったのは一番最初の「I dream of sleep」という、青いネオンサインでそのひとことだけが作られているもの。大体素通りされているけれど私はコレが良かった。「眠ることを夢見る」と語るネオンサイン、つまりそれは「不眠の苦しみ」だと勝手に思った。その蛍光がまぶしくて眠れないんだよ。眠りたい眠りたいと思いながら、朦朧とした中で、はやく眠れることを夢見る、でもいつまでも眩しい、そんな切ないような苦しみを感じてたまらなくなった。勝手に。ちなみに音声ガイドは全然違うことを言っていた。

  • そのほかのお気に入り リテュ・サリン & テンジン・ソナム 《人間の存在に関する問答》という、チベット仏教の僧侶の問答(問答形式の修行)を撮ったビデオ。お坊さんがオフェンスとディフェンスに分かれて教義の問答をするんだけど、オフェンス側の動作がまるで歌舞伎!これの何を(とった人の)アートとして考えたらいいのかわからないけれど面白かった。
  • ジョン・M・アームレーダー《グローバル・ドーム XII》12個のミラーボールが描く錯視。これはかなりはまって、双方向の光の速度を凝視していると足元がゆらいできた。お気に入り。
  • ポスターのカールステン・フラー《Y》は意外とあっけなく、もっと長ければ錯視感を感じられたのかなーと思う。
  • ロス・カルピンテロス《凍結した惨事の習作》 これは「ザ・ワールド!時は止まる!」としか言えないw 最近物理演算動画にはまっているので見慣れた感はあるけれど、やっぱり立体になっていると迫力がある・・・。ところで破片のブロックが壁の穴より多くないですか?気のせい?

ところで日曜の夜は空いていていいですね。