ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション@上野の森美術館

今の日本現代美術のスターが居並ぶ、驚くべき「個人」コレクション。精神科医の先生というのも・・・なんとも・・・。図録も買ったよ。

今回とにかく良かったのが鴻池朋子さんの作品。入り口いきなりの狼の彫像、「惑星はしばらく雪に覆われる」と続く絵の「Knifer Life」にやられました。全体を鏡のかけらで覆った狼の彫像が美しい!スポットライトによる反射光が吹雪のようで、雪原を歩む狼が見える。「Seven Seeds」の冬のチームの話を思い出した。「Knifer Life」も無数のナイフに包まれる少年と、ナイフにのって踊り狂う狼がたまらない。以前別の展覧会で「物語シリーズ」を見たときはぴんとこなかったんだけど。オペラシティの展覧会もぜったいいくぜ!

以下気に入ったもの。

  • 池田学「領域」「興亡史」 丸ペンのような極細ペンにカラーインクで、大きな木に埋め込まれたひとつの世界を描いている細密画・・・っていうと簡単なのだけれども、ふすまより大きな紙に描かれているのにもっともっと大きくして見たい、いつまでも見ていたいという魅力にあふれている。「千と千尋の〜」の湯屋のような?どこまで見ても破綻していないのがすごい。印刷だとつぶれてしまって見えない。所有したくなる気持ちわかる。
  • 会田誠「紐育空爆図」これ個人蔵だったのか!見たかったのでとてもうれしい。「大山椒魚藤田嗣治のような白蝋じみた肌の少女がうつくしい。しかしあまりにも山椒魚がポルノグラフィックすぎる!
  • 天明屋尚「ネオ千手観音」現代の武器を持っているという批評性は安直であまり面白くないけれど、暗緑色とクリーム色、蘇芳色の配色がとてもうつくしい。
  • 村山留里子「愛のドレス」「無題(ビスチェ)」ビーズ、造花、ボタン、おもちゃのアクセサリー・・・をみっしりと敷き詰めて作られたドレスとビスチェ。とにかく明るいあたたかさ、豊満で祝祭的な混沌に満ちていて気持ちが明るくなる。虚弱なガーリィではなく、あたたかみのある力を感じる。
  • 名和晃平「PixCell-Trumpet」など トランペット、剥製の鹿の頭、スニーカーを透明のガラス玉で覆ったもの。単純にきれいだと思う。
  • 加藤美佳「パンジーズ」 人形の少女と犬の骨。写真と見まごう描写。荒い解像度の写真を引き伸ばしたようにわざと描かれていて面白い。もう何点かみてみたい。

しかし・・・「紙にペン」とか「ミクストメディア」とか、保存・収蔵しにくいものが多いんだけれどこれが個人蔵ってすごいよな・・・どうやって保管しているんだろう。 日比谷の高橋コレクション美術館もはやくいきたい。