有川浩「阪急電車」2008

形式はおもしろい。短い路線で同乗する、「互いに見知らぬ人々」が1話づつつむぐオムニバス形式のストーリー。前の話の主人公を、その話で触れられもしない傍観者の次の主人公が見ている。物語は半分で折り返し、半年後、逆の順番で、彼らのその後が描かれる。この仕組みは単純におもしろいしにやりとする。・・・で、しかしこう、「3匹のおっさん」もそうなんだけど、小さな悪に対する素直な怒りの表現、たとえば醜悪な車内マナーや主婦間のイジメ、恋人の裏切りなどに対する怒りの表現は、同意できるのになんだか疲れるなぁ。「3匹のおっさん」もそうなんだけど。「フラストレーション⇒解消」っていう構成がはっきりしていてそれに乗せられるのがしんどいのか。
「えっちゃんの彼氏」の話が良くてそこだけ、気分が明るくなった。